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物理/第3部 波動
共通テスト 2027PHYSICS 03

波動はグラフを
読み違えなければ落ちない

波動でつまずく原因のほとんどは、y-xグラフとy-tグラフの取り違え位相のπずれの見落としの2つに集約される。 公式そのものは少なく、v = fλ干渉の条件を軸にすれば、あとは枝葉。

波動で失点しないための3原則

1 グラフを見たらまず横軸のラベルを声に出す。x なら「波の写真」、t なら「1点の日記」。

2 干渉は必ず経路差を出してから条件式に入れる。いきなり公式に数値を入れない。

3 反射があったら位相がπずれるかどうかを先に判定する。ここで明暗が入れ替わる。

CHAPTER 01

波の基本量とグラフ

波とは「振動が伝わる現象」であって、物が移動するわけではない。 媒質の各点はその場で振動するだけ。この一点を図で納得しておくと、あとの単元が全部軽くなる。

記号の約束
y変位(波の高さ)[m] A振幅(変位の最大値)[m] λ波長(1つの波の長さ)[m] T周期(1回振動する時間)[s] f振動数 [Hz](f = 1/T) v波の速さ [m/s] x波が進む向きの位置 [m] t時刻 [s]
x と t はどちらもグラフの横軸になる。どちらが横軸かで、読み取るものが変わる(λ か T か)。

1-1 基本式は1本だけ

波の基本式
v = fλ = λT
「1秒間に f 個の波が出て、1個の長さが λ だから、1秒で 進む」というだけの式。
波の速さ v は媒質で決まる(弦の張り具合、空気の温度、水の深さ)。 振動数 f は波源で決まる。だから媒質が変わると vλ が変わり、f は変わらない。
ANIM波は進むが、媒質は上下に振動するだけ
y-x グラフ(ある瞬間の波の「写真」) x [m] → y-t グラフ(赤い点1つの「日記」) ← 時間 t [s](右が現在)
波長 λ 周期 T 振動数 f 速さ v = fλ

緑の点は媒質の各部分。どの点も左右には動かず、その場で上下しているだけ。 赤い点に注目すると、その1点の動きが下の y-t グラフになる。 上のグラフから読めるのは波長 λ、下のグラフから読めるのは周期 T ── ここを取り違えない。

y-x グラフy-t グラフ
横軸位置 x時刻 t
何を表すかある瞬間の波全体の形(写真)ある1点の時間変化(日記)
読み取れる量波長 λ・振幅周期 T・振幅
波の進む向き問題文か、少し先の波形で判断直接は読めない

1-2 媒質の速度の向きは「少し先の形」で決まる

y-xグラフで、ある点の媒質が次の瞬間どちらへ動くかを聞かれたら、 波形をわずかに進行方向へずらして、その点の高さがどう変わるかを見る。上がるなら上向き、下がるなら下向き。 「波の進む向き」と「媒質が動く向き」はまったく別物

落とし穴
CHECK
CHAPTER 02

重ね合わせと定常波

2つの波が出会っても、ぶつかって壊れたりしない。ただ高さを足すだけで、通り過ぎたら元の形に戻る。 足した結果、進まなくなった波が定常波

記号の約束
いちばん大きく振動する点 まったく振動しない点 λもとの波の波長 [m] L弦・気柱の長さ [m]
定常波の「1つの山」の長さは λ/2。隣り合う節と節の間隔も λ/2(λ ではない)。

2-1 定常波は「同じ波が逆向きに進む」とできる

重ね合わせの原理
y = y1 + y2
出会ったところでは変位を足すだけ。通り過ぎたあとは元の形に戻る(波の独立性)。
節と節の間隔
λ2
腹と腹の間隔も同じ。節と隣の腹の間隔は λ/4
固定端反射
位相が π ずれる
上下が反転して返る。端は必ず節になる。(自由に動けない端)
自由端反射
位相はそのまま
形を変えずに返る。端は必ず腹になる。
ANIM逆向きの2つの波を足すと、進まない波ができる
━ 右向きの波 ━ 左向きの波(反射波) ━ 合成(実際に見える波)

青と赤は実際には別々に進んでいる2つの波。私たちが目にするのは黒い合成波だけ。 黒い線は左右に進まず、その場で大きくなったり小さくなったりする。 まったく動かない点が節(●)、いちばん激しく動く点が腹(○)

落とし穴
CHECK
CHAPTER 03

音波と共鳴

弦も気柱も、やることは同じ。両端の条件(節か腹か)を決めて、定常波の絵を描き、λ を L で表す。 そのあと f = v/λ に入れるだけ。

記号の約束
V音速 [m/s](空気中・15℃で約340) L弦の長さ・気柱の長さ [m] n何倍振動か(n = 1 が基本振動) f1, f2うなりをつくる2音の振動数 [Hz]
弦を伝わる波の速さと、空気中の音速は別物。弦の問題で 340 m/s を使わない。

3-1 弦と気柱

両端の条件基本振動の波長出る倍音
(両端固定)両端ともλ = 2Lすべての整数倍
開管(両端が開いた管)両端ともλ = 2Lすべての整数倍
閉管(片方が閉じた管)閉じた側が、開いた側がλ = 4L奇数倍のみ
ANIM気柱の共鳴 ── 端の条件が波長を決める
管の長さ L0.50 m 波長 λ 振動数 f = V/λ 音速 V = 340 m/s

閉じた端は空気が動けないので、開いた端は自由に動けるので。 閉管では基本振動の波長が管の長さの4倍になり、次の共鳴は3倍振動(偶数倍は出ない)。 開管はすべての整数倍が出る。

3-2 うなり

うなりの回数(1秒あたり)
n = |f1 − f2|
振動数がわずかに違う2つの音が重なると、強め合う瞬間と弱め合う瞬間が交互に訪れる。 差の絶対値がそのまま1秒あたりの回数。楽器の調律に使う。
ANIMうなり ── 2つの音の「ずれ」が音量の変化になる
━ 音1 ━ 音2 ━ 合成(実際に聞こえる) ┅ 音の大きさの変化=うなり

音1は 440 Hz に固定。2つの差が大きいほど、うなりが速くなる。 差が0になれば音量の変化は消える ── これが「音が合った」状態で、楽器の調律はこれを聞いている。
(波の形は見やすくするため、実際よりずっと少ない振動回数で描いている)

落とし穴
CHECK
CHAPTER 04

ドップラー効果

救急車が近づくと高く、遠ざかると低く聞こえる。原因は波面の間隔が詰まる/広がること。 公式の符号は覚えるものではなく、向きを決めれば自動的に決まる

記号の約束
f音源が出す振動数 [Hz] f′観測者が聞く振動数 [Hz] V音速 [m/s] vs音源の速度 [m/s] vo観測者の速度 [m/s]
正の向きを「音源 → 観測者」と決める。この向きに動いていれば速度は正、逆なら負。これだけで符号が決まる。
ドップラー効果
f′ = f V − voV − vs
正の向きは「音源から観測者へ向かう向き」
・音源が観測者に近づく → vs > 0 → 分母が小さくなる → 高く聞こえる
・観測者が音源から逃げる → vo > 0 → 分子が小さくなる → 低く聞こえる
覚え方より、近づけば高い・遠ざかれば低いで答えを検算するほうが確実。
ANIM動く音源は、前方の波面を詰め、後方の波面を広げる
音源 観測者
音源の振動数 f500 Hz 聞こえる f′ V = 340 m/s

音源(赤)は一定の間隔で音を出し続けている。出た瞬間の位置を中心に、波面が広がる。 音源が右へ動くと、右側では波面が追いつかれて間隔が詰まり(=波長が短く=高い音)、 左側では間隔が広がる(=低い音)。音源の速度を負にすると左右が入れ替わる。

よく出る3パターン

①反射板:壁を「いったん観測者、次に音源」として2段階で使う。壁が止まっていれば、聞こえた振動数をそのまま出し直す。
②斜めに動く:音源と観測者を結ぶ方向の速度成分だけが効く。真横を通過する瞬間は成分0なので、そのときだけ f′ = f
③風がある:音速が「V + 風速」(風下向き)に変わると考える。音源や観測者の速度は変えない

落とし穴
CHECK
CHAPTER 05

反射と屈折

境界で波が曲がるのは、媒質によって速さが変わるから。速い媒質ほど波長が長い。 振動数だけはどこでも変わらない ── これが屈折のすべての土台。

記号の約束
θ1入射角(境界面の法線から測る) θ2屈折角 n屈折率(真空を1とした比) vその媒質中での波の速さ λその媒質中での波長 θc臨界角(全反射が始まる角)
角度は必ず法線(境界面に垂直な線)から測る。境界面から測ると全部ずれる。
屈折の法則
sin θ1sin θ2 = v1v2 = λ1λ2 = n2n1
よく使う形は n1 sin θ1 = n2 sin θ2
屈折率が大きい媒質ほど、速さが遅く、波長が短く、法線に近づく。この3つはセット。
振動数 f はどちらの媒質でも同じ(波源が決めているから)。
ANIM入射角を大きくしていくと、あるところで全反射が起きる
法線 媒質1 媒質2 θ₁ θ₂
入射角 θ₁ 屈折角 θ₂ 臨界角 θc

屈折率の大きい媒質へ入るときは、法線に近づく(曲がって立つ)。逆に出るときは法線から遠ざかる。
全反射が起きるのは、屈折率の大きい媒質から小さい媒質へ進むときだけ。 入射角を大きくしていくと屈折角が 90° に達し、それを超えると光は境界を出られなくなる。光ファイバーの原理。

全反射の条件
sin θc = n2n1 (n1 > n2 のときだけ存在)
屈折角が90°になる入射角が臨界角。これより大きい入射角では、屈折光がなくなり全部反射する
落とし穴
CHECK
CHAPTER 06

レンズと鏡

レンズは3本の光線を引けば像の位置が決まる。式は1本だけ。 面倒なのは符号だが、「実物・実像は正、虚像は負」と決めておけば迷わない。

記号の約束
aレンズから物体までの距離 bレンズから像までの距離(実像で正・虚像で負 f焦点距離(凸レンズで正・凹レンズで負 m倍率
虚像は「そこに光が集まっていないのに、そこから来たように見える像」。スクリーンには映らない。
写像公式と倍率
1a + 1b = 1f  m = |b|a
引く3本の光線
① 光軸に平行 → 屈折後は焦点を通る
② レンズの中心 → まっすぐ進む
③ 手前の焦点を通る → 屈折後は光軸に平行
ANIM物体を近づけていくと、実像がやがて虚像に変わる
■ 物体 ■ 像 ● 焦点
a b 倍率 像の種類

a > 2f → 小さい倒立実像。a = 2f → 同じ大きさの倒立実像。f < a < 2f → 大きい倒立実像。
a < f になると光は集まらず、拡大された正立虚像が物体と同じ側に見える(これが虫めがね)。

落とし穴
CHECK
CHAPTER 07

ヤングの実験と回折格子

干渉の問題は「経路差を出す」→「λ の何倍かを見る」の2手で終わる。 公式を覚えるのではなく、どことどこの道のりの差かを毎回図で確かめる。

記号の約束
dスリットの間隔(回折格子では格子定数 Lスリットからスクリーンまでの距離 xスクリーン上の中心からの距離 Δx明線の間隔 m次数(0, 1, 2, …)
干渉の条件(位相のずれがないとき)
経路差 = mλ強め合う(明) / = (m + 12弱め合う(暗)
ヤングの実験では経路差 dxL なので
明線の位置 x = md、明線の間隔 Δx = d
スリットを狭くするほど、波長が長いほど、縞は広がる
ANIM2つのスリットから出た波が重なって、縞ができる
単色光 スクリーン
明線の間隔 Δx = Lλ/d スリット間隔 d 波長 λ

2つのスリットから同じ波が広がり、重なったところで強め合ったり弱め合ったりする。 スリットを近づける(d を小さくする)と縞の間隔は広がり波長を長くする(赤い光にする)と縞の間隔も広がる。中央(経路差0)は必ず明線。

回折格子
d sin θ = mλ
d格子定数(溝の間隔)。「1 mm あたり 500 本」なら d = 1/500 mm。
スリットが非常に多いので、明線が細く鋭くなるのがヤングの実験との違い。
落とし穴
CHECK
CHAPTER 08

薄膜・くさび形・ニュートンリング

ここだけは反射のときの位相のπずれを数えないと答えが逆になる。 ルールは1つ、「屈折率の小さい側から大きい側へ入って反射するとき、位相がπずれる」

記号の約束
n膜の屈折率 d膜の厚さ・すき間の厚さ λ真空中(空気中)での波長 m次数(0, 1, 2, …)
膜の中では波長が λ/n に短くなる。光路差を「膜の中の波長」で数えるか、「光路長 nd」で数えるかを統一する。

8-1 位相のπずれを数える

FIG薄膜の干渉 ── 上面と下面で反射した2つの光
薄膜(屈折率 n) 空気(n = 1) 空気(n = 1) ①上面で反射 ②下面で反射 d π ずれる ずれない ①は「小さい n → 大きい n」の反射なので位相が π ずれる。②は「大きい n → 小さい n」なのでずれない。 → 片方だけずれるので、条件が入れ替わる:2nd = (m + 1/2)λ で明

垂直に近い入射なら光路差は 2nd「πずれる反射」が片方だけなら、明暗の条件が入れ替わる。両方ずれる(または両方ずれない)なら、ふつうの条件のまま。 ここを数え間違えると、答えがちょうど反対になる。

状況光路差πずれ明線の条件
薄膜(空気→膜→空気)2nd片方だけ2nd = (m + 1/2)λ
くさび形の空気層2d片方だけ(下のガラス面)2d = (m + 1/2)λ
ニュートンリング(反射光)2d片方だけ2d = (m + 1/2)λ
中心は
検算になる事実

くさび形もニュートンリングも、接触している端(d = 0)は必ず「暗」になる。 自分の立てた式に d = 0 を入れて暗条件になるか確かめれば、πずれの数え方が合っていたかがわかる。

8-2 くさび形とニュートンリング

落とし穴
CHECK