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物理/第4部 熱力学と原子
共通テスト 2027PHYSICS 04

熱力学と原子
短期で仕上がる

熱力学は実質「状態方程式」と「熱力学第一法則」の2テーマしかない。 原子は暗記寄りで、覚えた分だけ得点になる
新課程では原子分野まで出題範囲。ここを捨てると失点が固定されるので、 短期集中で最後まで押さえる。

この2分野の攻め方

熱力学 覚える式は PV = nRTΔU = Q + WU = (3/2)nRT の3本だけ。 あとは「どの量が0になるか」を状態変化ごとに判定する作業。

原子 E = hνλ = h/(mv) が軸。半減期と崩壊の規則は暗記だが、覚えれば確実に取れる。

CHAPTER 01

熱と温度・比熱

温度は分子の運動の激しさ、熱は移動するエネルギー。 「熱をもっている」という言い方は本当は正しくない ── 持っているのは内部エネルギー

記号の約束
Q熱量 [J] m質量 [g] または [kg] c比熱 [J/(g·K)](1 gを1 K上げる熱量) C熱容量 [J/K](全体を1 K上げる熱量、C = mc) ΔT温度変化 [K] T絶対温度 [K](= 273 + t)
比熱 c は「1 gあたり」、熱容量 C は「その物体全体」。C = mc の関係を毎回確認する。
熱量の式と熱量保存
Q = mcΔT = CΔT  高温の物体が失った熱 = 低温の物体が得た熱
外に熱が逃げないなら、やりとりされる熱量は等しい。
温度変化 ΔTセルシウス温度の差でも絶対温度の差でも同じ(差だけなら273が消える)。
ANIM高温と低温を混ぜると、どこで釣り合うか
高温の水 低温の水 熱が移動する 0 ℃ 100 ℃
混合後の温度 移動した熱量 水の比熱 4.2 J/(g·K)

同じ質量なら、混合後の温度はちょうど真ん中になる。 質量の大きいほうへ寄るのがポイント ── 質量が2倍なら、その温度のほうへ2倍近づく。 これは「質量で重みをつけた平均」で、力学の重心と同じ構造をしている。

1-2 状態変化と潜熱

落とし穴
CHECK
CHAPTER 02

気体分子運動論と内部エネルギー

圧力の正体は分子が壁にぶつかる力積の合計。温度の正体は分子の運動エネルギーの平均。 ミクロとマクロがつながる、物理でいちばん気持ちのいい単元。

記号の約束
P圧力 [Pa] V体積 [m³] n物質量 [mol] R気体定数 8.31 J/(mol·K) T絶対温度 [K] N分子の数 kボルツマン定数(= R/NA U内部エネルギー [J]
物理では体積の単位が (化学の L と違う)。R も 8.31 J/(mol·K) を使う。
ANIM圧力は「分子が壁を叩く回数と勢い」でできている
読み取り 分子は壁と弾性衝突をくり返す。1回ごとの力積の合計が圧力になる。

温度を上げると分子が速くなり、壁を叩く回数も1回の勢いも増えるので圧力が上がる。 分子の数を増やしても叩く回数が増えて圧力が上がる。 これが PV = nRT の中身。

状態方程式
PV = nRT
物理では R = 8.31 J/(mol·K)、V は m³。PV = NkT と書くこともある。
分子運動論
P = 13 Nmv2V
分子1個の力積を全部足した結果。導出の流れ(1回の力積 → 単位時間の回数 → 全分子)が問われる。
分子の運動エネルギー
12mv2 = 32kT
温度は分子の運動エネルギーの平均そのもの。分子の種類によらない。
内部エネルギー(単原子分子)
U = 32nRT
温度だけで決まる。体積や圧力が変わっても、温度が同じなら U も同じ
落とし穴
CHECK
CHAPTER 03

熱力学第一法則

エネルギー保存を気体について書いただけ。 「気体に入ってきたぶん、内部エネルギーが増える」という当たり前のことを式にしている。 唯一の関門は符号

記号と符号の約束
ΔU内部エネルギーの変化 [J] Q気体が吸収した熱 [J](放出なら負) W気体がされた仕事 [J](圧縮で正・膨張で負)
教科書によっては W を「気体がした仕事」と定義し、$\ΔU = Q - W$ と書く。問題文がどちらの定義か必ず確認する。この本では「された仕事」で統一する。
熱力学第一法則
ΔU = Q + W
気体がされた仕事は、圧力一定なら W = −PΔV
膨張(ΔV > 0)→ 気体は外へ仕事をする → W < 0
圧縮(ΔV < 0)→ 気体は仕事をされる → W > 0
単原子分子なら ΔU = (3/2)nRΔT なので、温度が変わらなければ ΔU = 0
ANIM熱を入れる・仕事をする → 内部エネルギーがどう動くか
気体の内部エネルギー Q W

矢印が内向きなら気体に入ってくる(正)、外向きなら出ていく(負)。 2つを足したものが内部エネルギーの変化。内部エネルギーが増える=温度が上がる

落とし穴
CHECK
CHAPTER 04

状態変化とp-Vグラフ

4つの変化それぞれで「何が0になるか」を覚えるだけ。 p-Vグラフでは面積が仕事囲む面積が1サイクルの仕事になる。

4つの変化
定積変化V 一定 → W = 0 定圧変化P 一定 → W = −PΔV 等温変化T 一定 → ΔU = 0 断熱変化熱の出入りなし → Q = 0
ANIMp-Vグラフで4つの変化を見比べる
V P 始め 終わり グラフとV軸で囲む面積が 気体がした仕事にあたる

定積は縦の直線(面積0=仕事0)。定圧は横の直線(面積=PΔV)。 等温は反比例の曲線(PV一定)。断熱は等温より急な曲線になる (膨張すると温度も下がるので、圧力がより大きく下がる)。

変化特徴QW(された)ΔU
定積V 一定Q = ΔU0ΔU = Q
定圧P 一定Q = ΔU + PΔV−PΔV(3/2)nRΔT
等温T 一定Q = −W−(気体がした仕事)0
断熱熱の出入りなし0W = ΔUΔU = W

4-2 熱機関と熱効率

熱効率
e = W正味Q吸収 = Q吸収 − Q放出Q吸収
1サイクル回ると気体は元の状態に戻るので ΔU = 0
したがって正味の仕事 = 吸収した熱 − 放出した熱
p-Vグラフで閉じた曲線が囲む面積が1サイクルの正味の仕事になる。熱効率は決して1にならない
落とし穴
CHECK
CHAPTER 05

光の粒子性

光は波だと思っていたのに、粒(光子)としてふるまう証拠が光電効果。 「明るくしても電子が出ない」という事実は、波では説明できない。

記号の約束
hプランク定数 6.6×10⁻³⁴ J·s ν光の振動数 [Hz] λ光の波長 [m] W仕事関数(電子を取り出すのに要る最小のエネルギー) Kmax飛び出す電子の運動エネルギーの最大値 ν₀限界振動数
光子のエネルギーと光電効果
E = hν = hcλ  hν = W + Kmax
光1個(光子)が電子1個にエネルギーを渡すと考える。
hν < W なら、どんなに明るくしても電子は出ない
Kmax振動数だけで決まり、明るさには無関係
・明るくすると飛び出す電子の数(電流)が増える
ANIM振動数を上げていくと、あるところで電子が飛び出す
金属 振動数 ν K_max ν₀ 傾きが h、横軸との交点が限界振動数 ν₀
光子のエネルギー hν 仕事関数 W Kmax

hν が W を超えないと、光をいくら当てても電子は出ない(赤い光では出ないが紫外線なら出る、という現象)。 超えたあとは、余ったぶんがそのまま電子の運動エネルギーになる。 グラフの傾きは金属によらずつねに hで、金属を変えると横に平行移動する。

落とし穴
CHECK
CHAPTER 06

電子の波動性と原子模型

光が粒でもあるなら、電子は波でもある。この対称性がド・ブロイの発想。 その波が原子の中で定常波になると考えると、エネルギーがとびとびになる理由が説明できる。

記号の約束
λ物質波(ド・ブロイ波)の波長 p運動量(= mv) n量子数(1, 2, 3, …) Enn番目のエネルギー準位 [eV] r電子の軌道半径
ド・ブロイ波長
λ = hmv = hp
光子の p = h/λ を、そのまま粒子にあてはめた。速いほど・重いほど波長は短い
量子条件
2πr = nλ
円周が波長の整数倍のときだけ定常波になり、安定して存在できる。だから軌道がとびとびになる。
振動数条件
hν = En − Em
高い準位から低い準位へ落ちるとき、差のぶんのエネルギーを光として放出する。
水素原子のエネルギー
En = −13.6n2 eV
負の値(無限遠が0)。n = 1 が基底状態で最も安定。13.6 eV でイオン化する。
ANIM電子が準位を落ちると、差のぶんの光が出る
出る光

n = 1 に落ちる系列(ライマン系列)は紫外線n = 2 に落ちる系列(バルマー系列)は可視光n = 3 に落ちる系列(パッシェン系列)は赤外線。 水素の赤い輝線(656 nm)は 3 → 2 の遷移で、これがバルマー系列の代表。

落とし穴
CHECK
CHAPTER 07

原子核と放射線

崩壊の規則は3行で終わる。あとは半減期の計算だけ。 暗記量が少ないわりに毎年出るので、最もコスパのいい単元

記号の約束
Z原子番号(=陽子の数) A質量数(=陽子+中性子) T半減期 N₀はじめの原子核の数 N時間 t 後の原子核の数
同位体=原子番号が同じで質量数が違う(中性子の数が違う)。化学的性質はほぼ同じ。
崩壊出るもの質量数 A原子番号 Z透過力
α崩壊ヘリウム原子核 ⁴₂He−4−2弱い(紙で止まる)
β崩壊電子 e⁻変わらない+1中くらい(アルミ板)
γ崩壊電磁波(γ線)変わらない変わらない強い(鉛が要る)
β崩壊で原子番号が増える理由

原子核の中で中性子が陽子に変わり、電子が飛び出すから。
中性子 → 陽子 + 電子 なので、陽子が1つ増えて(Z が +1)、質量数は変わらない

ANIM半減期 ── 半分になるまでの時間はいつも同じ
時間 N/N₀ 読み取り 半減期ごとに 1 → 1/2 → 1/4 → 1/8

半減期は物質ごとに決まっていて、温度や圧力を変えても変わらない。 「あと半分になるまでの時間」はいつでも同じ T ── だから減り方が指数関数になる。

半減期の式
N = N0 (12)t/T
半減期の何回ぶん経ったか」を指数にするだけ。
例:半減期の3倍の時間なら (1/2)³ = 1/8 が残る。
落とし穴
CHECK
CHAPTER 08

核反応とエネルギー

原子核をバラバラにするとき、部品の質量の合計より原子核のほうが軽い。 この差(質量欠損)が、結合エネルギーとして E = mc² で現れる。

記号の約束
Δm質量欠損 [kg] c光速 3.0×10⁸ m/s Eエネルギー [J] u統一原子質量単位(1 u ≒ 1.66×10⁻²⁷ kg ≒ 931 MeV)
質量とエネルギーの等価性
E = Δmc2
質量欠損 Δm =(バラバラの核子の質量の和)−(原子核の質量)
この Δm に をかけたものが、原子核を結びつけているエネルギー(結合エネルギー)
核子1個あたりの結合エネルギーが大きいほど安定で、鉄のあたりが最大

8-1 核反応式の作り方

  1. 質量数の和が左右で等しくなるようにする
  2. 原子番号(電荷)の和が左右で等しくなるようにする
  3. この2つだけで、未知の粒子は決まる
粒子記号質量数原子番号
陽子¹₁H(p)11
中性子¹₀n10
電子(β線)⁰₋₁e0−1
α粒子⁴₂He42

8-2 核分裂と核融合

核分裂
重い原子核が2つに分かれる
ウラン235に中性子を当てると分裂し、さらに中性子が出る → 連鎖反応。原子力発電に利用。
核融合
軽い原子核が合体する
水素がヘリウムになる反応。太陽のエネルギー源。核分裂よりさらに大きなエネルギーが出る。
どちらもエネルギーが出る理由
鉄に近づくほど安定
核子1個あたりの結合エネルギーが増える向きに変化すると、余ったぶんがエネルギーとして出る。
エネルギーの単位
1 u ≒ 931 MeV
質量欠損を u で求めたら、931 をかければ MeV になる。計算が一気に速くなる
落とし穴
CHECK