有機化合物は種類が無限にあるが、反応するのは官能基だけ。
炭素の骨格は舞台で、主役は −OH や −COOH のほう。
「どの官能基があるか」→「その官能基は何をするか」の2段で、構造決定も分離もすべて解ける。
高分子は新課程で必答範囲なので、最後まで手を抜かない。
1 分子式を出す(元素分析 → 組成式 → 分子量で分子式)
2 官能基を特定する(検出反応の結果から。銀鏡反応ならアルデヒド、Naで水素なら−OH…)
3 異性体を書き出して、条件に合うものを選ぶ(ここで手が動くかどうかが差になる)
構造決定問題は元素分析から始まる。ここは手順が決まっているので、 考えずに手が動く状態にしておく。異性体は書き出す訓練がすべて。
構造決定問題は、検出反応の結果から官能基を逆算するパズル。 「銀鏡反応が陽性 → アルデヒド基がある」「炭酸水素ナトリウムと反応して CO₂ → カルボキシ基がある」 のように、結果 → 官能基の向きで引けるようにしておく。
| 種類 | 何が違うか | 例 |
|---|---|---|
| 連鎖異性体 | 炭素骨格の枝分かれ | ブタン と 2-メチルプロパン |
| 位置異性体 | 官能基のつく位置 | 1-プロパノール と 2-プロパノール |
| 官能基異性体 | 官能基の種類そのもの | エタノール と ジメチルエーテル(ともに C₂H₆O) |
| シス-トランス異性体 | 二重結合まわりの配置 | シス-2-ブテン と トランス-2-ブテン |
| 鏡像異性体 | 不斉炭素原子の立体配置 | 乳酸の2種類 |
①いちばん長い炭素鎖を書く → ②1つ短くして枝を動かす → ③さらに短く、という順で機械的に。
不斉炭素原子=4つの異なる原子・原子団がついた炭素。見つけたら鏡像異性体が存在する。
炭素どうしの結合が単結合か、二重結合か、三重結合か。それだけで反応のしかたが決まる。 単結合は置換、多重結合は付加 ── この対比を軸にする。
| アルカン | アルケン | アルキン | |
|---|---|---|---|
| 結合 | 単結合のみ | C=C を1つ | C≡C を1つ |
| おもな反応 | 置換反応(光+塩素) | 付加反応・付加重合 | 付加反応 |
| 代表例 | メタン CH₄ | エチレン C₂H₄ | アセチレン C₂H₂ |
| 反応性 | 低い(安定) | 高い | 高い |
| 臭素水 | 変化なし | 赤褐色が消える(脱色)← 多重結合の検出 | |
二重結合は回転できないので、この2つは別の化合物になる(沸点も融点も違う)。 ただし二重結合の片方の炭素に同じ基が2つついていると、シス・トランスの区別は生じない。 上の例(2-ブテン)は、どちらの炭素にも CH₃ と H がついているので区別できる。
有機で最頻出の流れが「アルコール → アルデヒド → カルボン酸」。 ただしこの道を進めるのは第1級アルコールだけ。第2級はケトンで止まり、第3級は動かない。
構造決定では逆向きに使うことが多い。 「酸化したらケトンになった → もとは第2級アルコール」「酸化されなかった → 第3級」と推理する。
エステルは「カルボン酸とアルコールから水がとれてできたもの」。 逆にたどれば、加水分解で何とと何に戻るかがわかる ── 構造決定の定番。
エステル化は可逆反応なので、水を取り除くと右へ進む(濃硫酸は触媒と脱水剤を兼ねる)。 けん化は生成物が塩になるため逆に戻らない。この違いが問われる。
ベンゼンは二重結合を3つ持っているように書くのに、付加反応をあまりしない。 6個の炭素で電子を分け合っていて安定だから。だから反応は置換が主役になる。
ニトロ化とスルホン化は次の化合物への入り口。 ニトロベンゼンは還元してアニリンに、ベンゼンスルホン酸はアルカリ融解してフェノールになる(第6講)。 どこからどこへつながるかを意識すると、反応が線でつながる。
| 化合物 | 特徴 |
|---|---|
| トルエン C₆H₅CH₃ | ベンゼンの水素1つをメチル基に置換。酸化すると安息香酸(側鎖が酸化される) |
| キシレン | メチル基が2つ。o-, m-, p- の3種類の異性体。p-キシレンの酸化 → テレフタル酸(PETの原料) |
| ナフタレン C₁₀H₈ | ベンゼン環2つが縮合。昇華性があり防虫剤に使われる |
| スチレン | ベンゼン環+ビニル基。付加重合してポリスチレン |
分離の問題は「酸性・塩基性・中性のどれか」と「酸の強さの順」だけで解ける。 塩になれば水に溶ける ── これが分離のすべての原理。
エーテル層(有機層)と水層に分かれた分液漏斗を振って、ほしいものだけを水層に移す。 移したあとで逆の性質の試薬を加えれば、もとの化合物が遊離して回収できる。 順番は「塩基性 → 強い酸 → 弱い酸 → 中性が残る」。
生体をつくる分子。検出反応を覚えているかどうかで点が決まる。 アミノ酸は酸にも塩基にもなるという一点を押さえる。
| 分類 | 例 | 還元性 | 加水分解すると |
|---|---|---|---|
| 単糖 | グルコース・フルクトース・ガラクトース | あり | これ以上分解しない |
| 二糖 | マルトース・ラクトース・セロビオース | あり | 単糖2分子 |
| スクロース(ショ糖) | なし | グルコース+フルクトース(転化糖) | |
| 多糖 | デンプン・セルロース・グリコーゲン | なし | 多数のグルコース |
スクロースだけが還元性を示さない(還元性を示す部分どうしで結合しているため)。
デンプンはヨウ素デンプン反応で青紫。セルロースは呈色しない。
デンプンはアミロース(直鎖)とアミロペクチン(枝分かれ)の混合物。
アミノ酸は −COOH(酸)と −NH₂(塩基)の両方をもつ。 酸性では −NH₂ が H⁺ を受け取って陽イオン、塩基性では −COOH が H⁺ を放して陰イオン、 その中間では双性イオンになる。全体の電荷が0になる pH が等電点で、 このとき電気泳動しても動かない。
| 反応名 | 試薬 | 結果 | 何を検出しているか |
|---|---|---|---|
| ビウレット反応 | NaOH+硫酸銅(II) | 赤紫 | ペプチド結合が2つ以上(トリペプチド以上) |
| キサントプロテイン反応 | 濃硝酸で加熱→アンモニア水 | 黄色→橙黄色 | ベンゼン環をもつアミノ酸 |
| ニンヒドリン反応 | ニンヒドリン水溶液 | 青紫 | アミノ基(アミノ酸にも反応する) |
| 硫黄の検出 | NaOH で加熱→酢酸鉛 | 黒色沈殿 | 硫黄を含むアミノ酸(システインなど) |
新課程では高分子が必答範囲。覚えることは多くないが、 「付加重合か縮合重合か」と「単量体は何か」の2つだけは全部言えるようにする。
二重結合をもつ単量体1種類 → 付加重合、 2種類の単量体(−COOHと−OH、−COOHと−NH₂など)→ 縮合重合という見分け方が確実。