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化学/第3部 有機化学
共通テスト 2027CHEMISTRY 03

有機は官能基の性格
を覚えるゲーム

有機化合物は種類が無限にあるが、反応するのは官能基だけ。 炭素の骨格は舞台で、主役は −OH や −COOH のほう。
「どの官能基があるか」→「その官能基は何をするか」の2段で、構造決定も分離もすべて解ける。 高分子は新課程で必答範囲なので、最後まで手を抜かない。

有機を解く3つの手順

1 分子式を出す(元素分析 → 組成式 → 分子量で分子式)

2 官能基を特定する(検出反応の結果から。銀鏡反応ならアルデヒド、Naで水素なら−OH…)

3 異性体を書き出して、条件に合うものを選ぶ(ここで手が動くかどうかが差になる)

CHAPTER 01

有機化合物の基礎

構造決定問題は元素分析から始まる。ここは手順が決まっているので、 考えずに手が動く状態にしておく。異性体は書き出す訓練がすべて。

この章の言葉
組成式原子数のを表した式 分子式実際の原子数 示性式官能基を明示した式(C₂H₅OH など) 構造異性体つながり方が違う 立体異性体つながりは同じで立体配置が違う

1-1 元素分析は順番が命

元素分析の手順
試料を完全燃焼 → ①塩化カルシウム管で H₂O を吸収②ソーダ石灰管で CO₂ を吸収
この順番は逆にできない。ソーダ石灰は塩基性なので、CO₂ だけでなく H₂O も吸ってしまう。 先に水を取り除いておく必要がある。
C の質量 = CO₂の質量 × 12/44 / H の質量 = H₂Oの質量 × 2/18 / O の質量 = 試料の質量 − C − H
  1. C・H・O それぞれの質量を出す
  2. それぞれを原子量で割って mol 比にする
  3. いちばん小さい数で割って整数比 → 組成式
  4. 組成式の式量と分子量を比べて、何倍かを求める → 分子式

1-2 官能基は「性格」で覚える

TAP官能基をタップすると、性質と検出法が出る

構造決定問題は、検出反応の結果から官能基を逆算するパズル。 「銀鏡反応が陽性 → アルデヒド基がある」「炭酸水素ナトリウムと反応して CO₂ → カルボキシ基がある」 のように、結果 → 官能基の向きで引けるようにしておく。

1-3 異性体は数え落としが命取り

種類何が違うか
連鎖異性体炭素骨格の枝分かれブタン と 2-メチルプロパン
位置異性体官能基のつく位置1-プロパノール と 2-プロパノール
官能基異性体官能基の種類そのものエタノール と ジメチルエーテル(ともに C₂H₆O)
シス-トランス異性体二重結合まわりの配置シス-2-ブテン と トランス-2-ブテン
鏡像異性体不斉炭素原子の立体配置乳酸の2種類
数え落とさないコツ

①いちばん長い炭素鎖を書く → ②1つ短くして枝を動かす → ③さらに短く、という順で機械的に。
不斉炭素原子=4つの異なる原子・原子団がついた炭素。見つけたら鏡像異性体が存在する。

落とし穴
CHECK
CHAPTER 02

脂肪族炭化水素

炭素どうしの結合が単結合か、二重結合か、三重結合か。それだけで反応のしかたが決まる。 単結合は置換、多重結合は付加 ── この対比を軸にする。

3つの分類
アルカンCnH2n+2 単結合だけ(飽和) アルケンCnH2n 二重結合1つ アルキンCnH2n−2 三重結合1つ
シクロアルカン(環状で単結合だけ)も CnH2n でアルケンと同じ分子式になる。分子式だけでは決められない。
アルカンアルケンアルキン
結合単結合のみC=C を1つC≡C を1つ
おもな反応置換反応(光+塩素)付加反応・付加重合付加反応
代表例メタン CH₄エチレン C₂H₄アセチレン C₂H₂
反応性低い(安定)高い高い
臭素水変化なし赤褐色が消える(脱色)← 多重結合の検出

2-1 覚えるべき反応

FIGシス-トランス異性体ができる条件
シス形(同じ側) C C CH₃ CH₃ H H CH₃ が同じ側にある トランス形(反対側) C C CH₃ CH₃ H H CH₃ が反対側にある

二重結合は回転できないので、この2つは別の化合物になる(沸点も融点も違う)。 ただし二重結合の片方の炭素に同じ基が2つついていると、シス・トランスの区別は生じない。 上の例(2-ブテン)は、どちらの炭素にも CH₃ と H がついているので区別できる。

落とし穴
CHECK
CHAPTER 03

アルコールと酸化

有機で最頻出の流れが「アルコール → アルデヒド → カルボン酸」。 ただしこの道を進めるのは第1級アルコールだけ。第2級はケトンで止まり、第3級は動かない。

アルコールの分類
第1級−OH のついた炭素に、炭素が1つ以下 第2級同じ炭素に炭素が2つ 第3級同じ炭素に炭素が3つ
「第何級か」は−OH がついている炭素に、ほかの炭素がいくつ結合しているかで決まる。分子全体の炭素数ではない。
TAPアルコールを酸化すると何になるか

構造決定では逆向きに使うことが多い。 「酸化したらケトンになった → もとは第2級アルコール」「酸化されなかった → 第3級」と推理する。

3-1 アルコールのその他の反応

ナトリウムとの反応
水素が発生する
2R−OH + 2Na → 2R−ONa + H₂。−OH の検出法。エーテルは反応しない。
脱水(高温)
160〜170 ℃ → アルケン
分子内脱水。エタノール → エチレン。
脱水(低温)
130〜140 ℃ → エーテル
分子間脱水。エタノール2分子 → ジエチルエーテル。温度で生成物が変わるのがポイント。
エステル化
カルボン酸+アルコール
濃硫酸を触媒に加熱。水がとれてエステルになる(第4講)。
ヨードホルム反応
CH3−CO−R または CH3−CH(OH)−R の構造をもつと、黄色沈殿(CH3I → ヨードホルム CHI3
ヨウ素と水酸化ナトリウム水溶液を加えて温める。特有の臭いのある黄色沈殿ができる。
陽性:エタノール・2-プロパノール・アセトアルデヒド・アセトン / 陰性:メタノール・1-プロパノール
「CH₃ が C=O か CH(OH) についているか」だけを見る。
落とし穴
CHECK
CHAPTER 04

カルボン酸とエステル

エステルは「カルボン酸とアルコールから水がとれてできたもの」。 逆にたどれば、加水分解で何とと何に戻るかがわかる ── 構造決定の定番。

この章の要点
エステル化酸+アルコール → エステル+水(濃硫酸が触媒) けん化エステル+NaOH → 塩+アルコール(不可逆 油脂高級脂肪酸とグリセリンのエステル セッケン油脂をけん化して得る

4-1 カルボン酸

FIGエステル化と加水分解は逆向きの反応
カルボン酸 CH₃COOH アルコール C₂H₅OH エステル化(濃硫酸) 加水分解 エステル + 水 CH₃COOC₂H₅ 酸の −OH と アルコールの −H がとれて水になり、残りがつながる。 塩基(NaOH)で分解すると「けん化」。こちらは逆に戻らない(不可逆)。

エステル化は可逆反応なので、水を取り除くと右へ進む(濃硫酸は触媒と脱水剤を兼ねる)。 けん化は生成物が塩になるため逆に戻らない。この違いが問われる。

4-2 油脂とセッケン

油脂
高級脂肪酸 3分子 + グリセリン
グリセリンは3価アルコールなので、エステル結合が3つ。けん化にはNaOH が3 mol必要。
脂肪と脂肪油
飽和が多い→固体/不飽和が多い→液体
不飽和の油脂に水素を付加して固めたものが硬化油(マーガリンなど)。
セッケン
高級脂肪酸のナトリウム塩
弱酸と強塩基の塩なので、水溶液は塩基性硬水では沈殿して泡立たない(Ca²⁺・Mg²⁺と結合)。
界面活性
親水基と疎水基をもつ
油を疎水基で取り囲む(ミセル)。合成洗剤は硬水でも使え、水溶液は中性。
落とし穴
CHECK
CHAPTER 05

芳香族炭化水素

ベンゼンは二重結合を3つ持っているように書くのに、付加反応をあまりしない。 6個の炭素で電子を分け合っていて安定だから。だから反応は置換が主役になる。

ベンゼンの特徴
C₆H₆正六角形・すべて同一平面 C−C 結合はすべて等価(単結合と二重結合の中間) 置換反応が主/付加は条件が厳しい o-(オルト)m-(メタ)p-(パラ)二置換体の位置
TAPベンゼンの反応をタップして確かめる

ニトロ化とスルホン化は次の化合物への入り口。 ニトロベンゼンは還元してアニリンに、ベンゼンスルホン酸はアルカリ融解してフェノールになる(第6講)。 どこからどこへつながるかを意識すると、反応が線でつながる。

化合物特徴
トルエン C₆H₅CH₃ベンゼンの水素1つをメチル基に置換。酸化すると安息香酸(側鎖が酸化される)
キシレンメチル基が2つ。o-, m-, p- の3種類の異性体。p-キシレンの酸化 → テレフタル酸(PETの原料)
ナフタレン C₁₀H₈ベンゼン環2つが縮合。昇華性があり防虫剤に使われる
スチレンベンゼン環+ビニル基。付加重合してポリスチレン
落とし穴
CHECK
CHAPTER 06

フェノールとアニリンと分離

分離の問題は「酸性・塩基性・中性のどれか」と「酸の強さの順」だけで解ける。 塩になれば水に溶ける ── これが分離のすべての原理。

酸の強さの順(重要)
塩酸・硫酸強酸 カルボン酸(安息香酸など) 炭酸H₂CO₃ フェノールいちばん弱い
カルボン酸は炭酸より強いのでNaHCO₃と反応してCO₂を出す。フェノールは炭酸より弱いので出さない。この差で分離する。

6-1 フェノール・アニリン・サリチル酸

フェノール C₆H₅OH
弱酸性
塩化鉄(III)水溶液で紫色(フェノール類の検出)。NaOHには溶けるが、NaHCO₃とは反応しない。
工業的にはクメン法でつくる(副産物としてアセトン)。
アニリン C₆H₅NH₂
弱塩基性
ニトロベンゼンをスズと塩酸で還元してつくる。
さらし粉水で赤紫色/二クロム酸カリウムでアニリンブラック。塩酸に溶けて塩になる。
サリチル酸
−COOH と −OH の両方をもつ
無水酢酸と反応 → アセチルサリチル酸(解熱鎮痛剤)
メタノールと反応 → サリチル酸メチル(消炎塗布剤)
どちらの官能基が反応したかで生成物が変わる。
塩になると溶ける
これが分離の原理
酸性物質+塩基 → 塩(水層へ)/塩基性物質+酸 → 塩(水層へ)。
中性物質はどちらにも移らずエーテル層に残る
TAP芳香族化合物の分離 ── ステップをタップすると理由が出る

エーテル層(有機層)と水層に分かれた分液漏斗を振って、ほしいものだけを水層に移す。 移したあとで逆の性質の試薬を加えれば、もとの化合物が遊離して回収できる。 順番は「塩基性 → 強い酸 → 弱い酸 → 中性が残る」。

落とし穴
CHECK
CHAPTER 07

糖・アミノ酸・タンパク質

生体をつくる分子。検出反応を覚えているかどうかで点が決まる。 アミノ酸は酸にも塩基にもなるという一点を押さえる。

この章の要点
還元性フェーリング液を還元する性質 双性イオン+と−を同時にもつ形 等電点電荷の和が0になるpH ペプチド結合−CO−NH−

7-1 糖類

分類還元性加水分解すると
単糖グルコース・フルクトース・ガラクトースありこれ以上分解しない
二糖マルトース・ラクトース・セロビオースあり単糖2分子
スクロース(ショ糖)なしグルコース+フルクトース(転化糖
多糖デンプン・セルロース・グリコーゲンなし多数のグルコース
覚えどころ

スクロースだけが還元性を示さない(還元性を示す部分どうしで結合しているため)。
デンプンはヨウ素デンプン反応で青紫。セルロースは呈色しない。
デンプンはアミロース(直鎖)アミロペクチン(枝分かれ)の混合物。

7-2 アミノ酸は pH で姿を変える

ANIMpH を動かすと、アミノ酸の電荷が変わる
酸性 等電点付近 塩基性 電気泳動:陽イオンなら陰極へ、陰イオンなら陽極へ動く

アミノ酸は −COOH(酸)−NH₂(塩基)の両方をもつ。 酸性では −NH₂ が H⁺ を受け取って陽イオン、塩基性では −COOH が H⁺ を放して陰イオン、 その中間では双性イオンになる。全体の電荷が0になる pH が等電点で、 このとき電気泳動しても動かない。

7-3 タンパク質の検出反応

反応名試薬結果何を検出しているか
ビウレット反応NaOH+硫酸銅(II)赤紫ペプチド結合が2つ以上(トリペプチド以上)
キサントプロテイン反応濃硝酸で加熱→アンモニア水黄色→橙黄色ベンゼン環をもつアミノ酸
ニンヒドリン反応ニンヒドリン水溶液青紫アミノ基(アミノ酸にも反応する)
硫黄の検出NaOH で加熱→酢酸鉛黒色沈殿硫黄を含むアミノ酸(システインなど)
落とし穴
CHECK
CHAPTER 08

合成高分子

新課程では高分子が必答範囲。覚えることは多くないが、 「付加重合か縮合重合か」「単量体は何か」の2つだけは全部言えるようにする。

2つの重合
付加重合二重結合が開いてつながる。ほかに何も出ない 縮合重合水などの小さい分子がとれながらつながる 開環重合環が開いてつながる(ナイロン6) 単量体くり返しのもとになる分子
付加重合は単量体の分子式がそのまま繰り返し単位になる。縮合重合は水がとれるぶん、分子量が減る。
TAP高分子をタップすると、単量体と重合の種類が出る

二重結合をもつ単量体1種類 → 付加重合2種類の単量体(−COOHと−OH、−COOHと−NH₂など)→ 縮合重合という見分け方が確実。

8-1 そのほかの高分子

落とし穴
CHECK